15) 料理上手な兄 [自伝本『私のこと』]
そんな惨事で育った子供達は、食事に 貪欲になるものらしい。
私も お陰で 食べる方も作る方も貪欲だ。
当時 中学生の兄は、土・日になると お昼ご飯を自分で作っていた。
私も手伝いながら 毎回ワクワクしていた。 楽しかった。
どこから得た知識か、兄は料理上手だった。
ただのインスタントラーメンを作るにしても
まず、野菜を切り 大きめなフライパンで炒め
そこに 水を入れ、粉末スープを入れる。
別な お鍋に 麺を茹でておいて、どんぶりに
フライパンの中のスープを注ぎ、湯切りした麺をきれいに入れ
最後に 野菜を飾る。
たかがインスタントラーメンでさえ、兄を尊敬したものだった。
ある日は、ポークソテーに挑戦した。
玉ねぎをみじん切りにし、油でよく炒め
お酒やケチャップなど いろんな調味料を入れ
一度 ソテーした豚肉を その中で煮込む。
手際の良さと その時々に沸き立つ香りに 感動した。
小学生の私は 兄が大好きだった。
今でも 兄は、料理のこだわりを持つ。
義姉も とっても料理上手なのだが
兄のこだわりに、時々 付き合いきれない事もあるらしい。
ギョウザは 必ず 自分で作り、自分で焼かないと ダメらしい。
他にも、下準備までは 義姉にやらせておいて
焼く・揚げる などは 兄の打席と決まっている。
そして、年末の おせち などにおいては
“お煮染め” になる 野菜達を切るのは、必ず兄だ。
毎年・・・今年もそうだった。
里芋・れんこん・にんじんの形などは、まるで料亭並みだ。
しかも、自分達で食べる用と さらにランク上の お客様用に 分けられる・・・。
私達は その些細な違いが よくわからない位、形が整っている。
兄に聞くと、少し大きい・小さい などと説明してくれる。
お正月の 定番の会話になっている。
器用で マメな 兄のストーリーも 後に 大いに語りたい。
2009年01月14日(水)