年表

40) 高校受験 [自伝本『私のこと』]

5才年上の兄の影響は、思ったより大きかった。
高校受験も例外ではない。
 
兄が高校受験の日に、誰かに撮られた写真を見せてもらった私は
トレンチコートを着て 受験会場に向かう兄の姿を
とてもカッコ良く、大人だ〜 と感じていた。
 
まだ 小学生だった私でさえも
“高校受験” への緊張感を察していた。
 
兄の進学した高校でもあったが
体操部の先輩が ほとんど選んだ高校へ、私も希望した。
県立だが、一応 進学校だった。
勉強は それなりに大変だったが、なんとか合格した。
 
その受験勉強の時のこと。
 
友達と、よく 夜食のメニューの話になった。
そういえば、私は “夜食” というものを作ってもらったことがなかったので
母に、ちょっと強気で
「一生懸命 勉強しているのに、どうして夜食を作ってくれないのか ?! 」
と、文句を言った。
今 思えば、ただ 「作って・・・」 と
優しくお願いすればよかったものの・・・。
 
その夜、母が私の部屋をノックした。
中にいた私は、机の上で うなだれ、爆睡していたのだ。
この日に限って・・・。
母は、持ってきたトレーを置くなり 叫んでいた。
「人に、なぜ作ってくれないんだ! と言っておいて・・・
人に言うからには、自分は ちゃんとしなければいけない。
要求するに値する人になりなさい !! 」
と、教えていた。
 
私は 非常に ばつが悪く、ただ茫然とするしかなかった。
母は もともと あまり怒る人ではなかったが
この時ばかりは、ひどく怒られた。 
 
現在、母親になった私が この時のことを考えると
夜食を持っていく頃合いまで 何かで時間をつぶし
タイミングは ここでいいか とか、何にしようか・・・など
気を使ってのことだったに違いない。
 
母が出ていった後、眠気の覚めた私は
気を取り直し、机に向かった。
 
置いてあったトレーを見ると
やっぱり 片手にぎりの みそおにぎりが
寂しそうに 私を待っていたのだった。
 
 
 

2009年04月10日(金)

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