ある日、母から電話があった。
　
義姉が美容師になると言うのだ。
　
兄達は、社内恋愛で結婚し、しばらくは義姉も働いていた。
私が 母のお店を継ぐ気がないことと
この先 子供ができても、美容師として働きながら子育ても出来るし・・・
などと考えたらしい。
　
正直言うと、私は反対だった。
兄も反対したであろう・・・。
兄も私も 子供の頃、母が美容師だったことで相当イヤな思いをしている。
兄に於いては、自らは勿論のこと、絶対 美容師の人とは結婚しない !
とまで言っていた。
　
それなのに、自分の奥さんが これから美容師になると言う。
気分は複雑であっただろう。
　
だが、義姉の決心は本気であった。
　
間もなく、会社を退社した義姉は、美容師免許取得に向け
通信教育に取りかかった。
　
とりあえず、家族は協力態勢をとったが
約一年後、更なる難関が訪れた。
　
義姉に子供ができたと言う。
　
その頃、約一年半の通信教育の終盤に
「サマースクール」 という集中合宿を経験しなければならなかった。
その時期が、丁度 生後3ヶ月にあたってしまった。
　
産まれたばかりの我が子を残し
彼女は 約1ヵ月間、高速バスに乗り 新潟市まで通い続け
美容の勉強をしたわけだ。
　
よくよく考えてみると、母が美容師になったお蔭で
私は勿論のこと、母の妹達や その子供達
しいては 嫁までもが美容師になったわけだ。
　
影響力のすごさに ただ驚くばかりである。