年表

45) お弁当 [自伝本『私のこと』]

中学生の頃に比べると、女子高校生のお弁当箱は 俄然(がぜん)小さくなる。
 
普通なら 大きくなるのだろうが
ダイエットのためか、ある種の見栄であろう。(笑)
 
あっさりと食べてしまった後の、物足りなそうに 食べ物の会話に盛り上がる様子などは
正体を現したごとく、まるで 食い気の怪物たちに他ならない。
 
時々、中身のメニューによっては
こっそり お弁当を隠しながら 食べたくなることもあるのだが
そんな時、思い出されることがある。
 
中1の頃だっただろうか・・・。
 
あるクラスメイトの男の子が
「今日さ〜 、母ちゃんが具合悪くてさぁ〜 、じいちゃんが作った弁当なんだよね〜 ・・・」
と、イヤそうな割には 案外 大きな声で宣伝している。
まわりにいた私達は、 ≪ じいちゃんの作るお弁当って・・・? ≫
と、ものすごい興味に駆られ、つい そのお弁当を中心に集まってしまった。
 
シンプルなアルミ製の四角い、いわゆる男子弁当箱のフタが開いた。
 
ん???・・・
 
皆 あっけに取られた。
 
白いご飯が きっちり入っているが
仕切りのある おかず部分には、何も入っていない。
 
≪ え〜〜っ? ≫ と 思った瞬間、 さらに ≪ え゛〜〜〜っ !! ≫ に なった。
 
なんと、フタの裏に シュウマイが がっちり くっついていたのだ。
しかも、でっかいシュウマイが2列・・・ 総勢8コのかたまりだ。
 
男の子は 照れ笑いした後、丁寧にシュウマイを 本来あるべき所に戻す。
すると、白いご飯に 白いシュウマイ・・・。
完成後の真白いお弁当に また 大爆笑がおこる。
 
私だったら間違いなく 隠し通すだろうし
おじいちゃんを八つ裂きの刑にするくらい、恥ずかしいことだった。
 
だが、この男の子は これを笑いのネタにした。
堂々と照れ笑いを通し、「じいちゃんも やるなぁ〜 」 と
余裕をみせたのだ。
 
よく考えてみれば
どうして お弁当を隠そうとするんだろう・・・。
自分が気にしている程、他人は気にしていないのに・・・。
 
思い起こせば、小学校の遠足の時の
母の大きな おにぎりを 恥ずかしいと思った私・・・。
 
彼のシュウマイ弁当を 一緒になって大笑いしている中
ふと、彼の人気者である所以(ゆえん)に 気付いた私であった。
 
小・中・高と、たかが お弁当ではあるが
私に いろいろ教えてくれた。
 
これから先は、たぶん 私自身が作るであろう お弁当。
 
そして 今、私のお弁当ストーリーは 子供達へのメッセージの一つになっているのである。
 
 
 

2009年04月28日(火)

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