年表

61) 松本先生 [自伝本『私のこと』]

美容学校の担任の先生は、女性だった。
 
しっかりとした口調、よく通る声、小柄な体型だが
口うるさい男子生徒にも負けない 根性とユーモアを持ち合わせた女性だった。
そして何より、技術的に うまかった。
 
子供の頃から見慣れた世界、誰にも負ける気はしなかったものの
入学してすぐ、私はこの先生を目標に 技術を盗もうと決めた。
 
実際には、私を含め 同級生たちの授業の受け方は すごかった。
教室の後方で、千円札を細く折り 耳にかけ
なんと トランプで 「オイチョカブ」 などをやっていたのだから・・・。
 
先生も、かなり注意していたが
後半は 軽〜く 無視されていたから スゴイ。
 
そんな仲間たちも、いざ 実技テストとなると 真剣に受けていたから おもしろい。
みんな、なんだかんだと言っても 美容師になろうとは思っていたようだった。
 
彼女からは、技術以外にも大切なことを学んだ。
若さゆえの反抗心や、おちゃらけた悪っぽさなど
社会には通用しない ! という事。
今は それでもいいけど、最後は 自分の人生に掛かってくる という事。
 
未成熟な子供が、社会に出るための助走のようなこの一年を
彼女のような、女性版 金八先生みたいな先生に出会えたことを
幸せに思う。
 
今でも この先生とは会っている。
時々 私のところに カットをしに来てくれるからだ。
 
あれから 25年以上経った今も、相変わらず 明るく元気で
おしゃべりな かわいい女性だ。
 
彼女も 私の恩師というべき一人である。
 
 
 

2009年06月23日(火)

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