77) ロールキャベツ [自伝本『私のこと』]
社会人になって一番お金が不自由だった頃・・・。
私が住んでいたアパートの近くに商店街があり
その商店街の入口に 『大黒屋』 というお惣菜屋さんがあった。
私は、お休みのたびに この道を通るのだが
なんとも美味しそうなお惣菜が並んでいるので
よく、立ち止まって眺めていた。
何度も、買おうか迷っては、買わずに立ち去っていた。
一番のお目当ては、大ぶりな手作りロールキャベツ。
一つ ¥ 70 くらいだったと思うが、一個売りの中では高額である。
そんなにド貧乏ではなかったし、たった70円の話だが
躊躇(ちゅうちょ)していた私がなつかしい・・・。
ある日、やっぱりロールキャベツを見つめていた私は
思い切って言ってみた。
「一つ ください。」
いつものおじさんは、笑顔で包んでくれた。
家に着き、包みを開け、驚いた。
大きなロールキャベツが 二つ 入っていたのだ。
笑顔のおじさんの優しさだった。
毎週のように、眺めては 買わずに立ち去る私を見て
よほど貧乏だと思ったのだろうか ?
思い切って買ってみた満足感に加え
突然のボーナスポイント ! に 浮かれた私は
遠慮なく 頬張った。
おいしかったぁ〜・・・
次の週、おじさんにお礼を・・・と思い、店先で待っていたが
奥の方にいて 声をかけられなかった。
別のおばさんに、 「何か ? 」 と声をかけられたが
おじさんから内緒で一個多く(タダで)もらったお礼 とも言えず
無言で帰ってしまったのだ。
その後、タイミングの悪さに お礼を言えないままになってしまった。
ちょっと後になってしまってからでも、ちゃんとお礼を言うべきだったと後悔している。
≪笑顔のおじさん、本当においしかったよ ! ロールキャベツ❤ ありがとう・・・ ≫
2009年08月28日(金)