106) 見てはいけないもの [自伝本『私のこと』]
ヘアーショーや講習などで、数々の出張に出掛けたが
やはり 都内をはじめ 大阪や福岡などの地方都市は数多かった。
中でも、大阪は違った意味で思い出深い。
守護霊に会ったのも大阪であるが、また別の霊に会ってしまった。
後輩と 東京から連れて来たモデルさんと、ビジネスホテルに泊まった日のこと。
打ち合わせを済ませ、各自の部屋に入ろうと カードキイを差し込んだ瞬間
なんだか イヤ〜な感じがして、つい後輩に 「いやなもの、見そう・・・」 と言うと
後輩のほうも経験があるらしく、「なんかあったら 起こしてください。」 と言ってくれた。
相変わらず イヤな気配を感じながら、なんとか眠りについた。
ところが、気付いたら 私の左足をさすっている人がいる。
足首から膝に向かって、何度も何度も 両手で 丁寧に さすっている。
≪うわーーー・・・≫
かなり気持ちが悪く、思わず足元を見た。
部屋の窓からは、ぼんやりとした月明かりの逆光だったはずなのに
なぜか さすっている人の顔は、はっきりと見えていた。
よく、お化けの真似をする時に 懐中電灯を顔の下から当てて照らす
まさに あの感じである。
守護霊様の時とは 決定的に違ったことがある。
それは、その “ 顔 ” だった。
今回の顔を見た瞬間、≪見ちゃいけない ! ≫ と感じた。
私にとって、とても違和感のある顔だった。
出来ることは、とにかく祈ることだけだった。
≪ごめんなさい、私は何も出来ません。ごめんなさい、ごめんなさい・・・≫
さすられている左足だけは 冷たくなっていたが、他全身は 汗びっしょりだった。
どれくらいの時間が経ったことだろう。
心の中で 何百回謝ったかわからないが、ふと 手の感触が無くなった。
ゆっくり 目を開けると、もう誰もいなかった。
こわごわ 布団を開け、左足を見たが特に異変はない。
急いでベッドから降りると、汗で私の型ができているほどだったが
左足の膝から下だけは、無かったのだ。
不思議体験は、これだけではない。
幽体離脱というべき体験もしている。
自分の体を、有り得ない角度から見てしまったのだ。
眠りにつこうとした時、急に体が何かに吸い込まれる感覚を覚えた。
体は とてもだるくなり、意識は 吸い込まれまいと必死になった。
ものすごい恐怖感と共に、見えたのは 自分の足先からのアングルだった。
向こうにあるはずの頭部は、ぼんやりしていた。
だが、間違いなく 私のパジャマと、見覚えのある 私の足だった。
だんだん辺りが明るくなってきて、見ると天井から強い光が差し込んでいる。
私は、この光を避けた。 引き込まれないように念じ続けた。
この間は、たぶん呼吸をしていなかったのだろう。
MAX に苦しくなった時、自分の体に帰っていった。
ちょっとした衝撃を胸に感じた。
自分に 一体何が起こっているのか、さっぱりわからないまま
疲れ果てた体と意識を、徐々に取り戻していった。
このあと しばらくは、不思議な体験など無かったが
後に、三度の出産の度に経験することとなるのであった。
2009年12月15日(火)