92) 海外出張 [自伝本『私のこと』]
初めて海外出張へ行くことになった。
メーカー主催のヘアーショーを韓国で行うため
社長の嶋が、私をアシスタントとして選んでくれたのだ。
実は、私は この時 初めて飛行機に乗ったのだ。
しかも 海外、 しかも 仕事だ。
いろんな意味でも 緊張感ある出張であった。
私が アシスタントとして行くことが決まってから、多忙な日々だった。
一番 思い出されるのは、モデルが着る衣装のことだ。
ありとあらゆる洋書・雑誌に目を通し、スタイルブックを作った。
その中でも ひときわ 私のお気に入りだったのは
『 John Galliano 』
当時は、まだ有名ではなかったが
その美しいフォルムのドレスが載っていた切り抜きを
未だに 大切に持っている。
私は、嶋に相談・・・コンタクトを取ってみたい、と申し出た。
切り抜きに載っていた国際電話の番号にかけてみた。
つたない英語で、どうしたら このドレスが手に入るかを、必死に問いかけた。
結局 このドレスは、サンプル品で、同じ物は購入出来ない・・・
しかも、ショップは イギリス ロンドンにあった。
さすがに 私も 諦め、違う衣装をアレンジした。
この時の “ダメで もともと” 的な 純粋な行動力は、未だ 衰えてはいないと思うが
英語で どう話したか覚えていないし、よく相手に伝わったものだ、と感心する。
結局、この時は あの大切な “切り抜き” は、無駄になってしまったが
後に、実際 ジョン・ガリアーノ氏に会えた 2度目の時に
例の切り抜きを見せ、この時のエピソードを話すことが出来たのだ。
記憶に残るドレスである。
アシスタントとしての準備を済ませ、韓国へ降り立つと
何とも言えないキムチの匂い・・・。
これが韓国の匂いか ! ・・・ 第一印象である。
アウェイながらも、モデルさんとのコミュニケーションもとれ
ショーは大成功 !
私の仕事に対し、嶋からも いい評価を頂いた。
成田へ戻った時、何となく 醤油のような匂いを感じた。
≪日本の匂いは 醤油だったか〜・・・≫
その後、何度か 海外でのヘアーショーを経験することとなる。
2009年10月23日(金)