94) HAWAII [自伝本『私のこと』]
海外出張を経験した私は、その後 プライベートでも友人と海外へ出掛けた。
初めて見る景色や さまざまな文化に触れ、興味は益々加速する。
そんな時、日本から出たことのない両親を ぜひ連れて行きたいと思った。
少なからず、ボーナスを貯めておいたお蔭で 旅費も準備万端だった。
後は 場所だ。
60才を目前にした両親のことを考えると
気候のよい所で、遠からず近からず、治安がよく、
でも、 “ザ・外国” というメジャーなイメージの場所、と言えば・・・。
欲張りすぎだけど、やっぱり それは・・・ HAWAII である。
その頃、美容師としては ロンドン・パリ・ニューヨークが人気であったから
両親をハワイに連れて行きたい、などと言えば どう思われるかと
一応 気にしながら、店長に お休みを取る相談をした。
心配をよそに、店長は快く 「親孝行になるね ♪ 」 と了解してくれた。
早速、夏休みに帰省し それとなく 父に気分を聞いてみる。
「外国で、どこか行きたい所 ある ? 」
「・・・ないなぁ〜。」
偶然、中国の万里の長城を取材している TV を見ていた。
「中国の歴史には興味があるから、中国は行ってみたいなぁ・・・。」
≪中国かぁ ?! ≫
「あのね、今度 長い休みがとれるから
お父さんとお母さんをハワイに連れて行きたいんだけど・・・。」
「ハワイか !! いや、いい。 あんな所 行かなくてもいい ! 」
≪ガ〜〜〜ン !!! ≫
この話は、もう 終わったかと思った。
次の日の朝、兄から 「おまえ何か言っただろう ?
お父さんに、ハワイの時差は何時間 ? とか、ビデオを貸してくれとか
俺のアロハシャツは まだ あるか ? って、いろいろ聞いてきたぞ。」
兄達は、新婚旅行で 以前 ハワイへ行っていたのだ。
≪な〜んだ、行く気あるじゃん・・・。≫
私は、苦笑しながら説明した。
結局、何事においても用意周到な父は、私以上に ハワイを調べ上げ
現地では、私に指示を出す程であった。
いよいよ、幸せな 親孝行旅行が始まるのであった。
2009年10月30日(金)